すくわくプログラム

「とうきょう すくわくプログラム」は、すべての乳幼児の「伸びる・育つ(すくすく)」と「好奇心・探究心(わくわく)」を応援する幼保共通のプログラムです。こひつじ幼稚園では、主体的・協働的な探究活動を通じ、子供の豊かな心の育ちをサポートします。

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すくわくプログラム

2025年度活動報告

こひつじ幼稚園では、2025年度よりすくわくプログラムを始めました。初年度は、「色」をテーマに、園庭や園舎の中にどんな自然の色があるかを探してみたり、その色を顕微鏡で拡大して観察し、自分の目で見る色と拡大して見る色との違いを体験しました。そして、その色の違いのなぜ?を探求し、自然の不思議さや面白さを子どもも大人もみんなで共有しました。

1.活動のテーマ

<テーマ>

<テーマの設定理由>

園庭に豊富な自然環境がある当園の環境を活かし、「色」をテーマとして設定する。

色は子どもたちが日常生活で最も身近に触れる要素の一つであり、園庭での自然遊びにおいて「きれいな花」「あかい葉っぱ」などの色に関する発言や、絵の具遊びで色が混ざる様子に驚く姿が日頃から見られることから、色の多様性や変化の仕組みについて、子どもたちの探究心と科学的思考をさらに深めるために本テーマを設定した。

2.活動スケジュール

【1学期】

 ・園庭の自然物を探してみる

【2学期】

 ・電子黒板および実体顕微鏡を設置し、採取した自然物を拡大し、その細部を観察する

 ・園庭の自然物の色の多様性に触れ、色の成り立ちを観察し、その役割について探求する

【3学期】

 ・様々な自然物の色を観察して、感じたことを言葉にし、教職員や友だちと話し合う

 ・発表会にて、活動の様子を保護者・関係者へ共有する

3.探究活動の実践

<活動の内容>

【道具・環境】

・電子黒板

・実体顕微鏡

・園庭の自然物

・新聞、染め紙等の色の付いた紙

・その他、園児が興味を持ったもの

【活動中の子供の姿・声、子供同士や教職員との関わり】

・1学期の自然物探しでは、子どもたちが園庭をじっくりと歩き回り、「これ、顕微鏡で見てみたい!」と目を輝かせながら葉っぱや石、砂などを真剣な表情で拾い集める姿が見られた。何を持ち帰るかを友達と相談する中で、「この葉っぱ、ちょっと黄色くなってる」「こっちはまだ緑だよ」など、すでに色の違いへの気づきが自然と言葉になっていた。

・実体顕微鏡で秋の落ち葉を拡大すると、「なんで同じ木なのに色が違うの?」という疑問が子どもたちから次々と出てきた。なぜ色が違うかを質問してみると、子どもならではの豊かな仮説が飛び交い、教職員が「どうしてそう思ったの?」と問いかけるたびに、さらに考えを深める様子が見られた。また、「葉っぱって生きてるんだ!」と初めて植物を「生き物」として捉える瞬間があり、その驚きは他の子どもたちにも広がっていった。

・新聞のカラー印刷部分を顕微鏡で覗いた際には、「なんかツブツブになってる!」「赤と青と黄色の点々だ!」と口々に叫ぶ声が上がり、「どうして点々なのに混ざって見えるんだろうね」と教職員が投げかけると、子どもたちは何度も肉眼と顕微鏡を見比べながら不思議さを味わっていた。

・床に落ちていたほこりを顕微鏡で見るという場面があった。「ピンクとか緑とか入ってる!」「ほこりってきれいなんだね」と、普段は気にも留めない存在が一気に探究の対象になった瞬間だった。

・園庭の砂を拡大すると、青や緑に輝く小さな石が混ざっていることに気づいた子どもが「砂の中に宝石があった!」と興奮気味に話し、それを聞いた友達も「本当だ、宝石みたい!」と目を丸くしていた。

・顕微鏡には繰り返し足を運ぶ子どもが多く、「次は何を見ようかな」と自分で探究の対象を選び、「前に見たのと比べてみる」と以前の観察と結びつけながら見ようとする姿も見られた。友達と一緒に覗きながら「そこそこ、もっとずらして」と声をかけ合う姿に、探究が自然に協同的な活動へと広がっていた。

4.振り返り

<振り返りによって得た先生の気づき>

・「色」をテーマに設定したことで、子どもたちが日常の遊びや生活の中で色を意識する視点が育まれていったように感じる。特に実体顕微鏡の導入は、肉眼では気づけなかった色の多様性や構造への気づきを生み出し、「見ること」の楽しさを深める大きな契機となった。普段見過ごしていたほこりや砂の中に美しさを発見したとき、子どもたちの驚きと喜びは本物であり、探究の原動力となっていた。

・葉の色の変化に対して「なぜ?」という問いが生まれ、子どもたちが自分なりの仮説を立てる場面は、科学的思考の芽生えとして大変印象深いものだった。答えを与えるのではなく、教職員が「どうしてそう思う?」と問い返すことで、子どもたちは自分の考えを言葉にすることに挑戦し、それを友達に伝えようとする姿につながった。また「植物は生き物だ」という気づきは、色の探究にとどまらず、命や自然への関心と敬意へと広がる可能性を感じた。

・電子黒板と実体顕微鏡という道具を保育環境に取り入れたことで、子どもたちが「もっと知りたい」という意欲を持続させながら活動に参加できる環境が整えられた。一方で、道具を使う場面と、園庭でじっくりと自然物に触れる場面のバランスを意識することの大切さも感じた。道具があることで探究が広がる反面、五感全体で自然を感じる体験もこの時期には欠かせないと改めて確認できた。

・子どもたちが自ら対象を選び、繰り返し観察する姿は、主体的な学びの姿として大切に受け止めたい。教職員はその都度、子どもの気づきや言葉を丁寧に拾い、クラス全体に広げていく役割を担ったが、一人ひとりの探究のペースや関心の向かい方が異なるため、全員が同じ気づきに至るよう促すのではなく、それぞれの発見を大切にしながら共有できる場をつくることが重要であった。今後も、個の探究と集団での対話が豊かに循環するような環境と関わりを意識していきたい。

📥 とうきょう すくわくプログラム活動報告書.pdf